妊娠後期の「お腹の上のほう」の痛み、実は放置するとヤバい?
妊娠後期、いよいよ出産が近づいてきて「あともう少し!」と気合を入れているお母さんたち、本当にお疲れ様です。大きくなったお腹を抱えて歩くのも一苦労、寝返り一つ打つのも一大事ですよね。
そんな中で、ふと感じる「お腹の上のほうの痛み」。
「これって赤ちゃんのキック?」「胃が圧迫されているだけ?」と、知恵袋やSNSで検索して、「大丈夫、みんなあることだよ」という言葉に安心しようとしていませんか?
ハッキリ言います。知恵袋の「大丈夫」を鵜呑みにするのは今日で終わりにしましょう。
私はこれまで多くのお母さんたちの声を聞き、自分自身も経験してきましたが、妊娠後期のお腹の上のほうの痛みには、「生理的なもの」と「一刻を争う危険なサイン」が紙一重で混ざり合っています。
ネットの断片的な知識で自己判断して、受診が遅れることだけは絶対に避けてほしい。今日は、現役のお母さん目線で、そして正確な医学的背景を踏まえて、その痛みの正体を徹底的に解剖していきます。
なぜ「お腹の上のほう」が痛くなるのか?
そもそも、妊娠後期にお腹の上が痛くなる理由は一つではありません。まずは、多くの人が経験する「比較的心配のない痛み」から見ていきましょう。
1. 子宮による内臓の圧迫
妊娠後期になると、子宮のてっぺん(子宮底)はみぞおちのすぐ近くまで上がってきます。これにより、胃や肝臓、胆嚢といった臓器がギュウギュウに押し上げられます。 食事をした後に痛む、あるいは常に胃もたれのような不快感がある場合は、この物理的な圧迫が原因であることがほとんどです。
2. 赤ちゃんの激しい胎動
「これ、折れてない?」と思うほど強いキックを食らうことはありませんか? 赤ちゃんの足がちょうどお母さんの肋骨付近や、胃のあたりを直撃すると、鋭い痛みを感じます。これは赤ちゃんが元気な証拠でもありますが、痛いものは痛いですよね。
3. 肋軟骨炎や筋肉の引きつり
お腹が急激に大きくなることで、肋骨周りの筋肉や軟骨に負担がかかります。特定の姿勢をとった時に「ピキッ」と痛む場合は、この骨格や筋肉の変化によるものである可能性が高いです。
ここまでは、いわゆる「妊婦さんあるある」です。でも、問題はここから。知恵袋では語り尽くせない、本当に怖い痛みの話をします。
知恵袋が教えてくれない「救急車レベル」の痛み
もし、あなたがお腹の上のほう(特に右上のあたり)に、経験したことのないような痛みを感じているなら、今すぐスマホを置いて産婦人科に電話してほしいケースがあります。
それが、HELLP症候群(ヘルプ症候群)と、常位胎盤早期剥離の兆候です。
HELLP症候群の恐怖
これは妊娠高血圧症候群に伴って起こることが多い、非常に深刻な合併症です。 特徴的な症状は、「みぞおち付近(心窩部)や右上腹部の激しい痛み」です。これを多くの妊婦さんが「ひどい胃痛」や「胸やけ」だと勘違いして、市販の胃薬を飲んで様子を見てしまう。これが一番危険なんです。
HELLP症候群は、血液中の血小板が減少し、赤血球が壊れ、肝機能に障害が出る病気です。進行が非常に早く、お母さんと赤ちゃんの命に関わります。 もし、痛みに加えて「吐き気」や「極度の倦怠感」があるなら、それは胃腸炎ではありません。すぐに病院へ行ってください。
常位胎盤早期剥離の可能性
通常、お腹の下のほうが痛くなるイメージが強い「剥離」ですが、胎盤がついている位置によってはお腹の上のほうに激痛が走ることがあります。 お腹が板のようにカチカチに硬くなり、持続的な痛みがある場合は、一分一秒を争います。
痛みを見分けるための自己チェックリスト
「病院に行くべきか、次の検診まで待つべきか」迷った時のために、判断基準を整理しました。
-
痛みの種類は?
-
波がある痛み(胎動や前駆陣痛の可能性あり)
-
持続的な、我慢できないほどの痛み(要注意)
-
付随する症状は?
-
血圧が上がっている(家庭用血圧計で140/90以上)
-
目がチカチカする、頭痛がひどい
-
急激なむくみがある
-
尿の量が減った
-
これらが一つでもあれば、即受診です。
-
出血はあるか?
-
お腹の痛みとともに出血がある場合は、何をおいても病院です。
「ただの胃痛」だと思い込まないで
妊娠後期の胃痛は本当に辛いです。逆流性食道炎も併発しやすく、寝るのもままならない時期ですよね。 しかし、「私は胃が弱いからいつものこと」と決めつけるのが一番のリスクです。
実は、私の友人も妊娠35週の時に「胃が痛い」と言って一晩耐えてしまいました。翌朝、あまりの顔色の悪さに夫が病院へ連れて行ったところ、重度の妊娠高血圧症候群と診断され、そのまま緊急帝王切開になりました。 幸い母子ともに無事でしたが、医師からは「あと数時間遅れていたら危なかった」と言われたそうです。
「知恵袋ではみんな大丈夫って言ってたから」。 その言葉が、あなたの、そして赤ちゃんの命を守ってくれるわけではありません。 自分の体の違和感に一番敏感になれるのは、あなた自身です。
病院に連絡する時の伝え方
いざ病院に電話しようと思っても、「大げさだと思われないかな?」「夜中だし迷惑かな?」と躊躇してしまう優しいお母さんたちへ。 病院側は、「何事もなければそれでいい」と考えています。空振りは大歓迎なんです。
電話をかける時は、以下のポイントを伝えるとスムーズです。
-
妊娠週数
-
痛みが始まった時間と場所(お腹の上のほう、右側など)
-
痛みの強さ(歩けるか、眠れるか)
-
胎動はあるか
-
血圧(測れる場合)
-
その他の症状(頭痛、吐き気、目がチカチカするなど)
これらを伝えるだけで、助産師さんや医師は緊急性を正しく判断してくれます。
日常生活でできる痛みの緩和ケア
もし検査の結果、医学的に問題がなく「生理的なもの」だと診断された場合、少しでも楽に過ごすための工夫をご紹介します。
シムスの体位を活用する
お腹の重みで血管や臓器が圧迫されるのを防ぐため、左側を下にして横になる「シムスの体位」をとりましょう。抱き枕を使うと、お腹の上のほうへの負担が分散されます。
食事の回数を分ける
一度にたくさん食べると、膨らんだ胃がさらに子宮を圧迫し、痛みを増幅させます。1回の食事量を減らし、1日5〜6回に分けて食べる「分食」を試してみてください。
腹帯を調整する
腹帯を締めすぎていませんか?逆に、お腹を支えきれずに重みが下に集中し、上のほうが引っ張られて痛むこともあります。自分に合ったサポート力の腹帯を選び直すのも一つの手です。
まとめ:あなたの直感を信じて
妊娠後期のお腹の上のほうの痛みについて、大切なことをまとめます。
-
多くの場合は子宮の圧迫や胎動によるものだが、自己判断は禁物。
-
右上腹部の激痛や、頭痛・吐き気を伴う場合はHELLP症候群の疑いがある。
-
お腹が板のように硬く、持続的に痛む場合は常位胎盤早期剥離の可能性がある。
-
血圧の上昇や視覚異常(チカチカ)がある時は、すぐに産婦人科へ。
-
ネットの「大丈夫」よりも、自分の違和感と専門医の診断を優先する。
お腹の赤ちゃんを守れるのは、世界でたった一人、お母さんであるあなただけです。 「このくらいで電話していいのかな?」と迷ったら、それは「電話すべきサイン」だと思ってください。
無事に出産の日を迎え、可愛い赤ちゃんを抱きしめるその日まで。 どうか、自分の体を一番大切に、慎重すぎるくらいで過ごしてくださいね。


コメント